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分解整備とは?特定整備との違いについても解説していきます。

2023年05月10日

2020年4月1日から、「分解整備」は「特定整備」という名称に変更されました。
「特定整備」という言葉は、一般の方には馴染みのない言葉かもしれません。
しかし、自動車整備を行っている企業や個人にとっては、非常に気になるトピックです。

この記事では2020年4月1日より施行されたこの制度について解説し、特定整備と分解整備の違いについて詳しく解説していきます。
今回の内容を深く理解し、必要な行動を起こせるようにしていきましょう。

分解整備とは?特定整備との違いについても解説していきます。

分解整備とは?

特定整備について詳しく説明する前に、まずは分解整備の概要について解説していきます。
自動車整備に詳しい方であれば、この用語を聞いたことがあるかもしれませんが、「具体的に何を指すのかよくわからない」という方もいると思います。
分解整備を理解するためには、その内容をしっかり把握することが重要です。

分解整備には厳しい基準が要求されている

自動車整備業界では、作業は点検整備、緊急整備、そして比較的難易度の高い分解整備の3つに分類されます。
ポイント整備と緊急整備は専門的な業務ですが、特に分解整備は2級以上の自動車整備士の資格を持つ人が必要とされる整備作業とされています。

日本では、自動車の分解整備には非常に厳しい基準が要求されています。
自動車が安全に運行されるために必要な部品や機構は、すべて自動車整備工場において分解整備の対象となります。
そのため、道路運送車両法による規制が導入され、自動車の認証制度が設けられています。

この認証制度に基づいて、自動車整備工場が分解整備を行うには、適切な作業スペースや設備、必要なスタッフを整える必要があります。
これらの基準を満たすことによって、地方運輸局長からの認証を受けることが可能となります。

認証を取得することで、自動車整備工場は厳格な安全基準を確立し、高品質な分解整備作業を実施することができます。

分解整備に該当するもの

道路運送車両法によると、分解整備が必要な部品として以下のパーツが挙げられています。
具体的なパーツを箇条書きで詳しく説明します。
これらのパーツは、整備作業において注意深く点検、修理、交換される必要があります。

原動機

自動車からエンジンを取り出し、メンテナンスや改造を行うことができます。
また、エンジンの交換も可能です。

動力伝達装置

トランスミッション、プロペラシャフト、またはデファレンシャルといったパーツを取り外してから整備や改造が行われます。
ただし、小型自動二輪車のクラッチについては除かれます。

走行装置

小型自動二輪車をのぞき、前輪独立懸架装置やフロント・リアのアクスルシャフトを外した後に整備やカスタマイズを行います。

操縦装置

ステアリングのギヤボックスやリンク装置の連結部分を分解してから行う整備・改造作業です。

制御装置

マスターシリンダーやブレーキホース、整備作業または改造のため、ブレーキチャンバーやブレーキドラム(小型二輪車を除く)の取り外しを行います。
また、 小型二輪車のブレーキシューを外すと、ブレーキライニングを交換する作業も行なわれます。

緩衝装置

トランクやタイヤに使われるばねを外し、整備や改造を施すことができます。
(ただし、コイルスプリングやトーションバースプリングを除く)

連結装置

けん引自動車や引かれる自動車の接続装置を外してから行われる整備や改装です。
分解整備が必要な部分は、故障すると重大な事故につながる場合があるため、専門的な知識や技術が必要であり、特別な設備が必要です。

特定整備との違いとは?

ここまでは先述の通り、分解整備について説明しました。
この整備は、自動車の安全性に関わる重要な作業であり、高度な専門知識と技術が求められます。
次に、特定整備と分解整備の違いや変化した点について説明します。

電子制御装置が追加された

令和2年4月1日から、自動車整備に関連する用語が変更され、「分解整備」は新たに「特定整備」として実施されるようになりました。
現代では、自動車技術の進歩に伴い、ADAS(先進運転支援システム)搭載車や自動運転に向けた新しい技術が数多く存在します。

重要な点は、これらの先進技術の多くが現代社会の安全性を担う重要な役割があるということです。高齢化に伴い自動車を運転する人の年齢層も高齢者層が増えています。
しかし、従来の分解整備の項目には、これらの新しい電子制御装置が含まれていませんでした。
つまり、新しい技術に制度が追いついていなかったということです。

今後は、安全技術を備えた電子制御装置に対する整備や点検が必要になるでしょう。
現在でも、ADAS自体の不具合による事故が発生しています。
このような状況を受けて、電子制御装置を含む製品の修理においては、合法性を保証するために認証が必須となる法改正が行われました。

電気制御装置とは?

自動車の自動走行装置は、ハンドル操作やアクセル・ブレーキを自動的に行うために、様々な電子制御装置によって制御されています。
この装置が正常に作動し、安全に走行できるようにするためには定期的な整備が欠かせません。
自動走行装置の整備や改造を行う際には、自動走行装置の本体を慎重に取り外す必要があります。

また、自動走行機能に影響を与える可能性があるため、修理やアップグレードには技術者による正確かつ丁寧な調整が必要です。
自動車には自動ブレーキやレーンキープアシストなどの機能が搭載されていますが、これらの機能にはカメラやセンサーが使用されています。

カメラやセンサーを取り外す場合、光軸の調整やコーディングが必要となります。
さらに、レーダーやカメラが装着されているグリルやバンパー、窓ガラスも取り外されることがあります。
これらの作業は特別な知識が必要であり、正確なテストや調整が欠かせません。

まとめ

特定整備と分解整備の違いについて説明しました。
特定整備では、従来の分解整備に加えて、電子制御装置のメンテナンスも行われます。
まだ認証を受けていない事業所は、経過措置期間内に認証を取得するようにしましょう。